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コマンドラインからこんにちは from 関島岳郎:2002-06-29


2002年06月29日(土)関島岳郎のヨーロッパ便り2002 その5

 皆さん、お元気ですか?僕は今デンマークのRoskil
deからドイツのGreifsWaldを目指して、デンマ
ークの高速道路を走っています。道の両側は見渡す限りの麦
畑、土地の起伏はまったくありません。何とも平らな国です。
 6月27日のRoskildeまでの移動は10時間半く
らい。予想より短い時間で、順調なドライブでした。途中フ
ェリーでデンマークへ。短い時間でしたが、船は良いです。
船内にはレストランやカフェ、免税店などがあり、ちょっと
した船旅の気分。船内ではユーロとデンマーク・クローネの
両方が使えました。

 Roskildeに着いて、まず宿へ。町の外、まわり一
面麦畑の中に宿はありました。どうやら農学校のようなもの
らしい。泊まった部屋は寄宿舎なのでしょうか、学生寮とい
った風情。テレビも電話もありません。雰囲気は悪くないの
ですが、これで一泊5000円はちょっと高いなあ。普通ラ
イブの日の宿は主催者が取ってくれますが、Roskild
eは宿も機材も自己負担。ギャラの中で工面しろということ
なのでしょうが、デンマークは物価がとにかく高いです。宿
を出て、食事をしに町に出たのですが、タイ料理屋でグリー
ンカレーが1800円。飲み物もデザートも高い。これは他
に覗いたレストランもそうだったので、全体に物価が高いの
でしょう。タイ料理屋の主人は、「フェスティバルの間は大
忙しだよ。」と笑いが止まらない様子でしたが。

 食事をした後、フェスティバルの会場にチェックイン。全
日有効のパスをもらいました。これはリストバンドの形をし
ていて、ポッチをはめて一度固定したら期間中つけっぱなし
にしていなければならないもの。はずすと再使用ができない
仕組みになっています。海外のフェスティバルはこのタイプ
のパスが多いです。僕はつけっぱなしがうっとおしいので半
固定の状態で使っていたら、この日の帰り際にゲートで注意
され、チェックインコーナーのようなところで固定させられ
てしまいました。会場への出入りの際に、リストバンドを引
っ張って固定してあるかチェックしているのです。このフェ
スティバルは全体にセキュリティーが相当厳しいようです。
しかし、セキュリティーの人に「君はフランス人か?」と何
度も聞かれたのはなぜだろう。ヨーロッパでは、英語を話さ
ないのはフランス人と決まっているのか。

 会場にチェックインした後、事務所で電話回線を借りて順
番にネットに接続。宿に電話が無かったからなのですが、た
ぶん変なやつらと思われたことでしょう。その後会場の中に
入ってみました。さすがに北欧最大のフェスティバルだけあ
って会場は広大で、会場内には6つのステージと無数の出店
や飲食店、テント村などがあります。メインステージではR
ammsteinというバンドが演奏していました。ボーカ
リストの服から火が出たり、ステージから5mほどの火柱が
上がったり、派手な演出で数万人の客を湧かせていました。
別のステージでやっているThe Chemical Bro
thersも見たかったのですが、長旅の後で時間も遅かっ
たので宿に戻りました。ドイツより北なだけあって、日が暮
れるのが遅く時間の感覚が狂ってしまいます。22時半頃で
夕方の雰囲気、24時頃でも西の空はうっすら明るいのです
から。

 翌日、シカラムータの出番は14時45分から。Ball
Roomという名前のテントが演奏会場でした。シカラムー
タの前に演奏していたのはアコーデオンのLelo Nik
aのグループ。バイオリン、ボタンアコーデオン、ツィンバ
ロン、ベースの4人編成のバルカンもの、ジプシーもののグ
ループですが、とにかくうまい。バイオリンもアコーデオン
も歌い方が絶妙で、特にアコーデオンで管楽器のような歌い
方をできる人を初めて聞いたような気がします。また、パー
カッションのたぐいが入っていないのに凄いグルーブ感です。
客席で見ていたのですが、お客さんも相当盛り上がっていて、
この次にやるのはなかなかやりにくいなと思いました。シカ
ラムータでも似た傾向の曲をやっていますし。 Lelo N
ikaの後、簡単なモニターチェックをしてシカラムータの
ステージ。時間がまだ早くてメインステージの催しが始まっ
ていないのも幸いしたのでしょう、5000人キャパのBa
llRoomは満員でした。音圧が高めの曲を中心に1時間
15分、ひさしぶりの大きなステージにテンションも高めの
演奏でした。小さいところは小さいところなりの面白さがあ
りますが、大きなステージはやはり気持ちが良いです。お客
さんも楽しんでくれたようでした。ただ、アンコールの「四
丁目」でアクシデントが起きました。坂本がチェロをマラカ
スのように振っていたら、エンドピンがチェロの中に入って
取れなくなってしまったのです。坂本のエンドピンはかなり
長めに作ってあるので、中で斜めに固定されてなかなか出て
来ません。しかもエンドピンの先端をやすりで削って尖らせ
てあるので、下手に動かすとボディに穴が開きます。実際す
でに2つほどボディ下部に穴が開いていました。このエンド
ピンを抜くのは相当大変だったようで、ガムテープや割りば
しを駆使してエンドピンを取ることができたのはこの数時間
後、病院でのライブの直前でした。

 ライブ後に楽屋で食事をしました。大きなフェスティバル
だけあって、メニューも充実。メインディッシュはビーフス
テーキを選びました。焼き具合はミディアムで。ステーキに
ワイン、ビールなどで気分が良くなってきましたが、この日
はもう一本ライブがあったのです。Roskildeの精神
科の病院でのコンサートです。これは数日前にフェスティバ
ルから急に依頼されたのですが、ギャラも出るようなので即
OKの返事。病院はフィヨルドのそばの広い敷地に多くの建
物が点在していて、とても気持ちの良い場所でした。演奏場
所は食堂のようなところ。お客さんは50人くらいでしょう
か。入院患者を中心に、その家族と職員。入院患者も普通に
普段着を着ていますので、知らずに見たら普通のコンサート
と変わりません。僕が日本で見た精神病院は大体窓に鉄格子
がはまっていましたし、中には相当ひどい病院もあると聞き
ます。Roskildeの精神病院は何というか、とにかく
オープンな雰囲気です。後ろでずっといちゃいちゃしていた
カップルが印象的でした。

 病院でのコンサートの後、フェスティバルの会場に戻りR
ed Hot Chili Peppers、Bauchkl
ang、Televisionのステージをはしご。24:
30頃宿に戻りました。びっくりしたのはオーストリアのB
auchklangといバンド。ボーカリスト6人だけでグ
ルーブ系の音楽をやるのですが、リードボーカル以外の5人
がドラム、ベース、シンセなどのパートを声で演奏。あまり
に見事で最初はカラオケを使っているのかと思いました。イ
コライザーなどのエフェクトも活用しているのでしょうが、
マイクを持った6人の男しかいないステージから生みだされ
る音楽とはとても信じられませんでした。客席も興奮状態で
アンコールの拍手が鳴り止みませんでした。

 会場を歩いていると、いろいろなところで声をかけられま
した。「さっきは見たぜ、グレートなステージをありがとう。」
会場内に東洋人はほとんどいないので目立つのでしょうが、
このように反応がストレートに帰って来るとやはりうれしい
です。

 車は今デンマークからドイツに渡るフェリー乗り場の1k
m手前、フェリーを待つ車の列の中で止まっています。デン
マークに来た時に使ったフェリーの乗り場です。実は今日の
行程を考えると別の町からドイツに出ているフェリーを使う
のが良かったのでそちらに向かったのですが、そのフェリー
は本数が少ない上に予約が必要だったようで、乗れるとした
ら4時間後の船になるだろうと言われて、こちらに回って来
たのです。だいぶ時間をロスしてしまいました。こちらのフ
ェリーは30分おきに出ているのですが、この混みようでは
乗船までまだしばらくかかりそうです。今日の目的地に着く
のは何時になるでしょうか。

 それでは、またお会いしましょう。


※文中の敬称は省略してあります。
※僕の能力では、ヨーロッパから掲示板に書き込めないので、
近藤君の力を借りています。

[link:47] 2002年07月01日(月) 02:38


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