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日曜カメラマンの修行時代 from 栗原正己:2003-05-18


2003年05月18日(日)ひと山越えた……

12時間以上寝て昼過ぎに起きて、夕方からのんきな休日を過ごした。おいしい食べ物最高。休日最高。オレってここんとこ働き者で、体感2ヶ月ぶりの休みだった気がするなあ。毎日休日のときもあるんだけど…。

昨日、大編成の録音があってそれまで大変だったのよ準備が。NHKのおっきなスタジオで22人編成の同録(いっぺんに録る)。すごいでしょ。この人数は自分史上初。緊張したけどすげー楽しかった。3時間で劇伴を大小含め20曲。18段のスコア用紙40枚分(紙とファクス代節約モード)書きに書いて親指がイテテテ、ってのも初。効率の良いディレクションのノウハウやアレンジ法の研究その他問題はたくさんあるけど(じっさい時間内に録りきれず短めのを5曲断念した)、結果はもちろん最高。だって一流のプレイヤーがこの人数集まってるんだから、よっぽどひどい譜面を書かないかぎりヘボいものになるわけがないのでーす(写譜の小林さんには多大な迷惑を…。ごめんなさい、次回こそもっと早くムニャムニャ…)。

それでもってこの録音でちょっと書きつくせないほどのたくさんのことを学んじゃって。あとで、録音に参加してもらった近藤君と坪口さん(近藤君のうまさも再認識。仲間がいて安心という意外な効果も。坪口さんのみ後でソロを時間をかけて弾いてもらった)と、ウチらのまわりのミュージシャンとスタジオプレイヤーの出音の違いとかについて考察したりしてたんだけど、深すぎるのでそれはまた。ときどき遊んでくれがちな打楽器の(藤井)珠緒さんと(三沢)いずみちゃんは、素顔はスタジオミュージシャンなもんで、それはもう堂々ときっちりした仕事をこなしてくれるわけで、頼もしいというか豪傑(女子だけど)と言うか、かっこいいねえ…。

 メモ:低域のカウンターラインの充実のためにビオラとチェロのユニゾンを多用したけど、チェロだけの方が良い場合もありそうだ。/演奏の難易度の高い曲は数曲にしぼる。/アレンジの段階で録音順も考える→順にプレイヤーを解放→予算の削減/全員参加の曲を1〜2曲用意する→サウンドチェックの効率化/すぐれた職人さんでも慣れていないフレーズには苦戦する。何度もセッションして、得手不得手を知っておくと良さそうだ。と、そんな変則フレーズは複数楽器に割り当てると1人の負担が減るからやりやすいよ。とピアノの松本ホウメイさんから教えていただいた。感謝。

■ここから解説コーナーです。興味のある方のみ読んでみてちょ。

何でこんなことが出来たかと言うと、まず今まで作ってきたNHK教育TVの「いないいいないばぁっ!」という番組の中のワンコーナーの「トムトム・ブー」という2分半のアニメがあります。でそれが秋から単独放送されことになって長さも5分バージョンに拡張、音楽の当て方も当然変わって来るのでそのための録り直しの対策を立てることになった。

今までは1話ずつ、外部のレコーディングスタジオ、エンジニアでまる1日かけてていねいに作らせてもらってたんだけど、今回のリメイクに関しては、局内のスタジオ限定になった。一話分につきシンセ一日分、ミュージシャン4〜5人までしか使えなくなった。あ、これは今までと同じだな。でもこれでできることって、リズムセクションを生で録ろうと思ったら、上モノはシンセに、上モノで木管やら弦を入れたらリズムはシンセになっちゃって、シンセもいいけど、一回やってるからつまんないし、面倒で時間がかかるわりには効果がイマイチな気がして、なんかそれじゃ燃えなくなっちゃってるってのもあって。弦だって4人じゃカルテットだし、あたりまえか、いや、頭の良い読者諸君はすでにお気付きと思うが、最近のシンセやサンプラーだと簡単に出せる、あのゴージャスなストリングスサウンドを生で出すには、20人以上の優秀なプレイヤーが必要で、カルテットとセクションは音色としては全然別モノなのです。

プラス、局内録音のメリットを最大に活かすにはどうするかっていうと、無料で暢達できる(というか局内精算かな)、メンテのゆき届いたあの楽器群を使わせてもらうってことでしょう。あそこには、大型のクラッシックパーカッションとか、ハモンドオルガンとか、はたまためったにお目にかかれないチェレスタや大型のチェンバロまで、通常のスタジオには置いていないようないろんな楽器が山ほどあるのです。

やらなにやらを総合して浮上した案が、例えば4話分まとめ録りしてシンセをカット(数人分のミュージシャン費に相当)したら、単純計算して4倍の人数プラスアルファが稼げるってことになって、それはすごい、名案だ。と自分で言って楽しみで眠れなくなったというわけです(じっさいは別の意味で眠れなくなった…苦笑ー)。でこの思いつきをコーディネート担当の事務所のボスに話したら、そりゃあいい、ってんでことの運びになって、いや、この親分の本業がインペク屋(ミュージシャン手配)ってこともあって、ことが進む進む。なぐあいで優秀なプレイヤーの皆さんに集まってもらえて、オレってラッキー。ちなみに内訳は、弦が12人の中編成、木管3人、5リズムに打楽器とギターを1人づつ追加した22人。わー。

あー、考えたことを全部(じゃないけど)書いちまった。失礼。めったにない状況を味わったもんだからねー。しかしアレです、リメイクって尺合わせがゼロから作るより大変だねえ。でも面白いから大いに結構。すまん、オレの身体。そうだ、寝ないと。まだ書きたいことあるんだけどなー。

※というわけで、明日からまたいろいろありますがひとまず一段落。メールや電話での連絡が滞ってしまいまして、ご迷惑をかけましてすみません。徐々に対応していきますので、宜しくお願いいたします。

[link:111] 2003年05月19日(月) 06:03


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